ケロイド(ドイツ語: Keloid、英語: keloid)とは、瘢痕組織が過剰に増殖した病変であり、良性線維増殖性病変に分類されている。肥厚性瘢痕(hypertrophic scar)は類縁病変である。
「ケロイド」の語は、「鉤爪(かぎづめ)」を意味するギリシア語に由来する。即ち、「鳥の鉤爪のような」病変という意味である(Enzinger FM et al, 1995)。
和名は蟹足腫(かいそくしゅ)。しばしば蟹の足のような形状の突起を生ずることから来ている。
外傷や手術などが原因で、膠原線維性瘢痕が腫瘍様に増殖する場合が一般的であるが、原因不明のケロイド病変の発生もある。
後者の場合には本人も気が付かない小外傷、虫刺傷などが先行することが多い。
臨床的特徴
思春期から壮年期に発生しやすい。欧米では白人より黒人に多い傾向が指摘されている。前胸部、肩甲部、恥骨上部などが好発部位で、頭部や眼瞼、下肢の病変は稀である。通常は皮膚の表面から隆起した弾性に富む限局性腫瘤を形成する。ほとんどの病変で圧痛や自発痛を訴えることが多い。
近年多く見かけるのは、耳朶のピアス孔に一致してできたケロイドである。美容目的に医療機関(形成外科、皮膚科)を受診することが多いため、遭遇頻度が多いと推察される。一般的な傾向として、以下の点が挙げられる。
・自然治癒がない。
・健常組織へ染み出すように広がる。
・怪我や熱傷などの直接的原因が無くても自然に出来ることがある。
・出来やすい体質がある。
ケロイドと肥厚性瘢痕の見極めは専門家でも迷うことがある。決定的な指標は周辺健常部位への広がり方であり、ケロイドでは周囲の健常皮膚に発赤を認めることが多い。
ただし黒人では肉眼的な判別は非常に困難である。
治療の要点
外科的手技によって切り取る手術療法、術後の放射線治療・電子線治療 (放射線治療ガイドライン)、ステロイド剤の軟膏・注射やヘパリン類似物質塗布、シリコーンジェル・シートまたは絆創膏・テープによる圧迫療法・密閉療法、トラニラストの内服などの療法がある。しかしながら単独で効果のある治療は確立されておらず、種々の治療を組み合わせた集学的治療が必要となる。
皮膚の傷跡、やけど跡などに関する用語
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