褥瘡(じょくそう)は、臨床的には、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面(多くはベッド)との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。床ずれ(とこずれ)とも呼ばれる。
褥創と書かれることもあるが、日本褥瘡学会は、「創」の字が局所的な創傷を表すのに対し「瘡」の字が全身的な病態を表すとして、後者の使用を推奨している。
褥瘡は偶発性(または突発性)褥瘡と尋常性褥瘡に大別して考察される。 前者は健康な個体に一時的な外力が加わって形成されるものとされ、その負荷が除去されれば速やかに治癒が得られるものである。
これに対し後者は慢性的に経過し難治であり、そのような治癒遷延をきたすなんらかの要因を持つ患者群に好発・集積する傾向のあるものを言う。
発生病理
多くは下記好発部位に示すように、人体の生理的な骨性隆起部周辺の皮膚・軟部組織に圧迫・伸張・剪断応力が外力によって生じ、その結果、組織の微小循環が不全となって壊死が起こり、その部の組織欠損・皮膚潰瘍を生じたものである。褥瘡の予防
褥瘡は、やむを得ない発生事例もあるとはいえ、予防の余地の大きい疾患であることもまた論を待たない。■褥瘡のケアの基本は、除・減圧(支持面の調整と体位変換)、皮膚面の保湿と保清(清潔)、栄養管理が主体となる。
入浴(不能な場合はせめて足浴)は創の有無を問わずおおいに推奨される。また、水出納の管理(脱水予防)も含め、近時では管理栄養士の役割が飛躍的に重要となっている。
他に重要な関連職種として、薬剤師、リハビリテーション療法士があげられる。
■褥瘡が起こりやすい人を評価し発生の予測を行なう目的で、ブレーデンスケール(米国式)・OHスケール(大浦・堀田による)・K式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測尺度)等が用いられている。
■体圧分散寝具を使用する。メディカルムートン(羊毛皮)・ウレタンフォーム(単独・複合)マット・エアマット(圧切換型・静止型)・ウォーターマット・高機能寝台(自動体位変換)などがある。
この分野での基礎・応用において工学者の貢献は特筆すべきものがあり、褥瘡の発生病理の理解が急速に進んだ原動力の一翼と言って過言ではない。
■定期的に十分な体位変換を行う。2時間ごとが基本とされるが、最近では上記の体圧分散寝具を使用した上で、4時間あるいはそれ以上の間隔で行なわれる場合もある。
最近では褥瘡などの創傷治癒に特化した皮膚・排泄ケア認定看護師が活躍している。また日本褥瘡学会では独自に褥瘡認定師の制度を2007年から発足させている。
皮膚の傷跡、やけど跡などに関する用語
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