自然治癒力(しぜんちゆりょく、spontaneous cure)とは、人間・動物などの心身全体が生まれながらにして持っている、ケガや病気を治す力・機能を広くまとめて指す表現。
手術を施したり、人工的な薬物を投与したりしなくても治る機能のこと。「自己治癒力」とも呼ばれる。
自然治癒力の概説
「自然治癒力」と古くから呼ばれ親しまれている機能の中には、「自己再生機能」と「自己防衛機能」が認められる。
「自己再生機能」とは、体が外傷などを負った時に、(それが少々の規模であれば)傷を治す機能のこと。
「自己防御機能」とは、生体の外部から浸入してくるウィルス・細菌類と戦う機能のこと。つまり「免疫」のことである。
二つの機能は連携して機能することもある。例えばスリ傷を負った時の治癒では、生体は浸入してくる細菌と戦いつつ皮膚を再生しているので「自己防衛機能」と「自己再生機能」を同時に働かせているということになる。
自然に起こる創傷治癒
身体で起こる創傷治癒の過程については多くの研究報告がある。
たとえば深い切り傷で起こる創傷治癒の過程を見てゆくと、まず受傷部に流入してくる血液により血栓が形成され、血中のフィブリノーゲンが結合し、線維束を形成する。
■炎症反応、異物除去
受傷6~24時間は、周辺の毛細血管から好中球が滑り出てくる(好中球は、もし創(そう、傷口)が不潔な場合、細菌などを貪食処理する)。そして好中球は短時間で消滅する。
受傷後12~48時間は、単球が創内に集まってくる。単球はアメーバ状に形をかえつつ、細菌や組織分解物の貪食を開始し、次第に捕食消化する能力を高めてゆく。
これは単球がマクロファージに分化し、活性化マクロファージへ変化したことを意味する(もし、創内に向かってマクロファージが集まらなかったり力が弱かったりする場合は、分解物が除去できず炎症が長く続く)。
皮膚の傷跡、やけど跡などに関する用語
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