熱傷(ねっしょう)とは、お湯や油などの熱・化学薬品・放射線などが原因で生じる体表組織(主に皮膚)の局所的損傷。通称は火傷(やけど)。
火傷(やけど)のスキンケア製品は、火傷跡のタグで製品一覧が表示されます。
熱傷の分類
熱傷(ねっしょう)は、原因により次のように分類される。温熱熱傷
熱湯、火焔、蒸気などの熱による損傷。人間の皮膚は45℃以上の温度で熱傷になる。45℃の場合1時間、70℃の場合1秒で組織の破壊が始まる。化学熱傷・化学損傷
薬傷とも。酸、アルカリなどの化学薬品による損傷。数時間にわたって徐々に組織が壊疽(gangrene)するのが特徴。電撃傷
電流による損傷。電流への抵抗によって生じる5000℃ほどの熱で組織が破壊される。重症度は電圧、電流、伝導体への接触時間に左右される。交流電源は直流電源より危険度が高い。
筋損傷、血管損傷、心停止(心室細動)のおそれがあり、また絶縁後も進行性壊死が見られる。主に深部組織が損傷するため、体表からの観察で重症度を判定するのは困難である。
放射線熱傷
放射線による損傷。高線量の放射線により皮膚を構成する細胞や血管が傷害され、熱傷に類似した症状を呈する。日焼けも厳密に言えば熱傷である。太陽光線に含まれる紫外線(UVA、UVB)に被曝すると、皮膚組織の破壊が起こる。日焼けといえども、照射時間・範囲のいかんによっては重態になりかねない。
低温熱傷
温熱熱傷の1つ。低温熱源による熱傷。長時間の低温熱源の直接接触により受傷する。接触部の温度が44℃だと約6 - 10時間で受傷する。
また44 - 51℃までのあいだは接触する温度が高くなるにつれて受傷する時間が短縮される場合もある。
低温熱源とは湯たんぽ、懐炉、ストーブ、ホットカーペットなどおもに暖房器具。受傷者側の要因としては、熟睡していたり体が不自由であったり、知覚麻痺、泥酔、一酸化炭素中毒、糖尿病による循環不良、などの状態にあると受傷しやすい。
また、ホットカーペットに幼児を寝かせ毛布をかぶせると熱中症にかかりやすいなど、暖房器具によるけがは多い。
(近年ではノートパソコンの使用に伴い、ひざに乗せることで本体底面部からの放熱でひざが、またキーボードやパームレスト部からの放熱で手のひらが、低温熱傷にかかる報告がある)。
重症になりやすい低温熱傷
低温熱傷は極端に熱源の接触時間が長いため、発赤や水疱形成だけに見えても深部に深い損傷を負っていることが多い。
睡眠時は痛みに気づかないため深達性II度(DDB)まで傷を負い、さらに進行性に深くなりIII度(DB)まで達することもまれにはある。
深くなる理由としては、皮膚の血流量より脂肪層の血流量が少なく、皮膚の血流で受傷した創が冷やされて軽症に見えても脂肪層では血流により冷却されないことが挙げられる。
低温熱傷の予防
就寝時低温熱傷では湯たんぽによるものが圧倒的に多い。電子サーモスタットを有しない構造が重要な欠陥である。近年の湯たんぽブームにより状況は最悪である。
体の同一箇所を暖房器具に長時間触れさせないようにする。
暖房器具を使用する人の状態によっては周囲の人が配慮する。
熱傷の応急処置
患部を1秒でも早く、水で、冷やすことが推奨される。手近にあるコップの水でもお茶でもまずかけること。その後も流水(水道水)で冷やし続けることが望まれるが、それができないときは濡れタオルで冷やしても良い。15分ほど冷やしたら速やかに医師の診察を受けること。自己判断の治療(ジャガイモやアロエなど)は以後の治療の妨げになるので避ける。
服は脱がせず、そのまま水をかけること。無理に脱がそうとすると皮膚が剥がれ、損傷が酷くなる。
水疱(水ぶくれ)は破らないこと。破ると感染を起こしやすくなる。
乳幼児や老人は低体温を起こしやすいため、冷やしすぎに注意。ひととおり冷やしたらすぐに病院へ搬送する。
気道熱傷のおそれがある場合は、息ができなくなってからでは手遅れになってしまうので、直ちに救急搬送を依頼する。 電撃傷などで心肺停止状態にある場合は心肺蘇生が最優先される。冷却は二の次。
局所治療
消毒・洗浄・温浴を施しながら、経過を診るのが一般的であるが、湿潤療法の有効性も主張されている。
皮膚の傷跡、やけど跡などに関する用語
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